2020年4月10日金曜日

東京の1日の感染者184人を受けて・・・PCR検査とは何か


昨日、東京での1日のコロナ肺炎感染者が184名見つかったと報道され衝撃を受けられた方も多数おられたかと思います。私も衝撃を受けました。
 ただ、もう少し落ち着いて考えてみたいと思います。

まず、PCR検査とは何か を考えてみたいと思います。




 専門的なお話になりますが、検査というものの正確さを測るのには上の表のような用語を用います。
 理想の検査とは、感度100%、特異度100%のもの。

 つまり、感度100%:病気である人にすべて陽性と出る検査。
 一方で、特異度100%:病気でない人にはすべて陰性と出る検査。

 これが理想の検査です。

 しかし、そのような検査はこの世には存在しません。

 感度、特異度ともに90%くらいなら非常に良い検査と言われています。
 
 感度90%とは、病気があれば9割の人に陽性と出る。しかし、残念ながら病気の人でも10%は陰性と出てしまうもの。
 特異度90%とは、病気がない人には90%陰性と出る。しかし、病気がなくても10%の人に陽性と出てしまうもの。

 PCR検査は残念ながらあまり良い検査ではないと言われています。つまり感度、特異度ともに低い。

 私はここで、感度、特異度ともに70%くらいの検査と想定しみます。

 註)検査ですからあまりに感度、特異度が低いと検査になりません。60-70%くらいは欲しいものです。我々臨床医はこのような検査をいくつか組み合わせて正確な診断を得ようとしております。
 このコロナ武漢肺炎では・・・
 レントゲン写真
 CTでのすりガラス状の陰影(他の肺炎でも出ます)
 何よりも 
 今までの経過
 発熱は  咳は  苦しいか・・・
 
 あと感染地への渡航歴
 感染の疑われる人との濃厚接触の有無 など
 
 このようなものを組み合わせて診断します。

 PCR検査を「殿下の宝刀」のように考えている人が多いように思いますがそのようなことはありません。
 私どもは駆け出しの時に以下のように習います。
 正確な診断に至る道としては
 1)問診が90%(患者さんの訴え、今までの既往歴、コロナなら渡航歴とか感染者との濃厚接触の有無 家族歴 など)
 2)徒手検査 視診 触診 聴診 など が9%
 3)残り1%が画像、血液検査、PCR検査 です。

 一般論ですが、正確にコロナ肺炎と診断するにあたりPCR検査の貢献度は1%以下ということです。
 
 これで今の東京(令和2年4月9日)の状況を見てみましょう

昨日(令和2年4月9日)、東京で184人の感染者(実はただPCR検査が陽性と出た人)が見つかったと報道されました。今までで最高であり最悪の数字、と報道されていました。

これで東京の感染者は延1200人くらいになりました。
 この中には治ってしまった人もいるし、もちろん、偽陽性であった人もいる
 だけど、私は負けに負けて、彼らが皆コロナ肺炎であったとしましょう。

 また、いや、実際は東京にはこの10倍、いやいや、100倍いるのだ、と物知り顔でおっしゃる方もいらっしゃる。

 それならば、ここでも私は負けに負けて最大限に見積もってこの100倍の患者がいるとして、東京には12万人の感染者がいると仮定してみましょう。

 テレビなどを見ていると日本はPCR検査をやらなさすぎる。もっとやらないとダメだ、と激昂される方もいらっしゃる。実際はPCR検査はすごく手間のかかる検査でなかなか多くはできません。
 しかし、仰ることをお聞きして、ならば今、東京都民に一斉に1200万人にPCR検査をしてみましょう。

 するとどうなるか。

  このPCR検査は感度70%すると東京都民1200万の内、3割の方、つまり360万人の人に陽性と出るわけだ。

  しかし、先に設定したように実際のコロナ肺炎の患者は12万人。こう考えると、PCR陽性の場合でもコロナ肺炎の人は30分の一となる。

 今、最大限に実際に感染した数を多く見積もったのでこうなったが、本当の数字はもっと低いででしょう(PCR検査陽性=コロナ感染者ではないから)





 それが実態。
 実態はなるべく正確に把握したいものです。

 コロナ肺炎は新しい感染症。我々人類にはコロナに対する抗体が体にはないし、このようなものには慎重な対応が求められるのは当然です。ただし、慌てても不安と無策以外何も出てきません。
 対策は「自粛」くらいしかない。
 緊急事態宣言も時宜にかなったものと私は考えています。

 故に対策としては・・・
 一時(ひょっとしたら今でも)、コロナ肺炎は指定伝染病に指定されたので、PCR検査が陽性だったら至急感染症病棟に入院すること、とか言われていましたが、これは間違いです。

 PCR陽性であっても、無症候の人、ちょっとした風邪症状だけの人 は、自宅待機で十分と思います。

 このような人は高い確率でコロナ肺炎ではありません(先ほども申し上げたとおり実際にコロナである確率は1-3%くらい)。
 自宅で部屋になるべくいて、トイレなどに陽性の家族の者が行ったらトイレのノブをジア塩素やアルコールで拭いて消毒することを心がければもう十分すぎると思います。
 そのうちに良くなってしまう人も多いのではないでしょうか。
 このような人はコロナ肺炎であるとは言い切れません。

 阪神の藤波選手も楽しく宴会したあとPCR陽性だったとテレビでニュースになっていましたが、今は「回復」されたと報道されていました。
 結果的に彼はコロナではなかったと思います。PCRは陽性でしたがコロナ肺炎ではないという所謂「偽陽性」というやつだったのです。

 藤波選手も入院されていたと聞きましたが、このような感じの人も入院していたら、このような患者さんに特別に白い防護服を着て対応しますから、すぐにベッドも医者も看護婦も足りなくなる(今日本はこの状態)。当たり前です。

 症状が出て来て、熱がひどいとか、呼吸が変で苦しい、とかなって初めて入院。
 CTなどを撮ったりして特異な「すりガラス様陰影」などがあると診断がつくこともありますが、このくらいでもまだ、コロナかどうかははっきりと診断はつきません。
 もちろん肺炎を起こす疾患、例えば、インフルエンザ、レジオネラ、結核、マイコプラズマなどは検査をして否定しなければなりません。
 ちなみにインフルエンザとコロナが同時に増殖することはありません。
 ウイルス同士もお互い、競争したり牽制したりするからです。

 時節柄、日本全国はおろか世界中、なんでもコロナです。まるで「杯中の蛇影」(註)です。
 私も人のことは言えない。ちょっと咳払いしたり、雪の降る寒い朝(札幌は昨日と3日前に雪が降りましたので)などに寒気を感じると「コロナかな」と思うのです。

 このくらいの症状だと、風邪の重いものか、肺炎の初期ですから、点滴くらいでよくなる患者さんもたくさんいます。

 もっとひどくなり、酸素吸入が必要か? となって初めてコロナ肺炎の診断がつき始めるのではないでしょうか
(もっとも例外も多数あると思う。コロナ肺炎をたくさん見ている専門医がみると、ちょっとみただけでこの人はコロナだな、と思わざるを得ないケースもあるかと思います。それが臨床医というものなのです)

 とにかく大事なことは、無用に恐れずに、かつ、可能な限りの自粛をして、医療資源を効果的に使って対応していきましょう、ということです。




註)杯中蛇影 はいちゅう の だえい
疑う気持ちが強くなると、つまらないことでも過剰に気になり病んでしまうことのたとえ。
『晋書・楽広伝』にある以下の故事に基づく。
晋の楽広という人物の友人が楽公の部屋で酒を飲んでいたとき、杯に映った影を見て蛇と思い込み、その酒を飲んだことを気にして病気になった。
それを聞いた楽公が友人に「それは蛇ではなく、弓の影が映っていただけだ」と言うと、たちまち病気が治ったという。
「杯中」は「盃中」とも書く。
「蛇影」は「じゃえい」とも読む。

(『晋書』「楽広伝」)


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現代英文訓読法 目次 (新渡戸稲造 武士道もここにあります)

2 件のコメント:

  1. 水間TV(youtube)では、4月から中国人が1日100人入国してきているらしいです。
    この入国してきた中国人がコロナ陽生ならば無料で治療するなんておかしいと思いませんか。
    さらには中国人の中には日本での治療を期待して入国してきている輩もいるようです。
    こんな状況では東京での感染者数が減少に転じる事は難しいとおもいます。
    現政権の親中派を何とかしないと日本は世界からの信頼を失うのではないでしょうか。

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  2. なぜ入国できるのであろうか。国境はどうなっているのであろうか。
    それは政府の仕事。
    緊急事態宣言とかいっていて、このようなだらしないことを一方でしているのはダメだと思います。

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