今日、ご紹介する症例は、運動を積極的にされてきた79歳の女性です。
中学、高校の時に床運動の選手で、県大会にも出場したことがある方。
20歳代、30歳代はご結婚、ご出産、子育てとお忙しい時を過ごされ運動からは遠ざかっていました。
40歳から70歳代前半まで、山登りをかなり積極的になさっておりました。
骨密度に関しては、割と少なめであると思います。骨密度は生まれ持ったものという要素も大きいのです。
平成18年に来院された時に、フォサマックを週に1回飲んでいただきましたが、そのあと来られなくなりました。すぐに薬を飲むのは止められたようです。
23年にこられた時にやなり低いので、ボナロンを月に一度飲んで頂きました。すると骨密度は順調に上がってきました。
この方は、骨密度は低めですが、私は「ワーズ」というものに注目しております。
骨密度の検査はいろいろな数字が出てきますが、「ワーズ」というのもその一つです。
「ワーズ」とは大腿骨の頸部(股の付け根)の骨密度の1種ですが、大腿骨の頸部は骨密度の高いところと低いところがあるのです。その低いところを「ワーズ三角」と言い、ここの骨密度も図っています。
この方は、この「ワーズ」が非常に高いと思います。
「ワーズ」は50歳までは、一般的な大腿骨の骨密度と同等の数字が出ますが、歳をとるごとにこの数字の開きは大きくなります。
70歳を超えると、30〜40になります。
しかし、この方は50以上おありになる。つまりこれは骨密度の低いところがあまりないということ。つまり骨折に強いということが示唆されている(示されている)と思います。スポーツをよくおやりになっていた方に多い傾向です。
「ワーズ」に関しては学問的にはあまり分かっていないのです。その理由は撮影する放射線技師によって差があるからと言われています。当院では一人の放射線技師が撮影しているので安定した結果が得られます。
私は「ワーズ」は、「骨の質」と関係しているのではないか、と考えています。
身体機能もチェックしました。
さすがに運動を継続的にされているので、基礎体力は十分です。
「身体の反り」で背筋力をみておりますが、22cmとは非常に素晴らしい値と思います。
握力も両方とも20kg以上あり十分です。
70歳の時点で握力が20kg以上ある方は長生きされる傾向があるというデータがあります。
今回薬を長く飲んでいただいているので、1−2年休薬することといたしました。
もっと長く飲まれてもよろしいのですが、減り張りをつけることも大事かと思います。
平成30年11月25日
症例2 81歳女性 私の母です
0 件のコメント:
コメントを投稿