2020年8月25日火曜日

武士道 第58講


 北見 留辺蕊町 北の森水族館で いとう
原文
58講
62) Nor was Satsuma the only place in Japan where gentleness was inculcated among the warrior class. 

63) A Prince of Shirakawa jots down his random thoughts, and among them is the following: "Though they come stealing to your bedside in the silent watches of the night, drive not away, but rather cherish these--the fragrance of flowers, the sound of distant bells, the insect hummings of a frosty night." 

64) And again, "Though they may wound your feelings, these three you have only to forgive, the breeze that scatters your flowers, the cloud that hides your moon, and the man who tries to pick quarrels with you.”

65) It was ostensibly to express, but actually to cultivate, these gentler emotions that the writing of verses was encouraged. 

66) Our poetry has therefore a strong undercurrent of pathos and tenderness. 

67) A well-known anecdote of a rustic samurai illustrates the case in point. 

68) When he was told to learn versification, and "The Warbler's Notes" 1 was given him for the subject of his first attempt, his fiery spirit rebelled and he flung at the feet of his master this uncouth production, which ran

"The brave warrior keeps apart
The ear that might listen
To the warbler's song.”

69) His master, undaunted by the crude sentiment, continued to encourage the youth, until one day the music of his soul was awakened to respond to the sweet notes of the uguisu, and he wrote

"Stands the warrior, mailed and strong,
To hear the uguisu's song,
Warbled sweet the trees among.”

現代英文訓読法で

 私の訳: 62) 温和さが武士の間に教え込まれたのは日本において薩摩だけではなかった。

nor /nər, ⦅強⦆nɔːr/
〖語源は「いずれでもない」〗
(!neitherの古い形の短縮形)
接続詞〖従位接続詞〗
b. 〖nor does A〗Aもまた…ない (!norの後は主語と助動詞の倒置が起こる→do1助動詞5文法; 助動詞がないときはdo, does, didなどを用いる)
▸ Billy was not disappointed, nor was he surprised.
ビリーは失望もしていなかったし, 驚いてもいなかった
▸ He didn't like the idea, nor did I.

彼はその考えが気に入ってなかったし, 私もそうだった (!He didn't like the idea, and I didn't like it, either. より⦅かたく⦆響き, 強意的) .

gentleness /dʒént(ə)lnəs/
名詞
U親切, 優しさ; 温和, 穏やかさ.

inculcate /ɪnkʌ́lkeɪt|-́--̀/
動詞
他動詞⦅かたく⦆
1 (何度も繰り返して)【人(の頭)に】…をたたき込む, 教え込む, 説き聞かせる «in, into, on, upon»
inculcate ideas in A's mind
考えをA〈人〉に説き聞かせる.
2 〖~ A with B〗A〈人〉にBを植えつける
inculcate children with morality
子供に道徳を教え込む.

矢内原忠雄訳: 62) 日本において武士階級の間に優雅の風が養われたのは、薩摩だけのことではない。




私の訳: 63) 自河公は彼の心に浮かぶ考えを書き留めている。それらの中で以下のものを挙げる「それらはあなたの枕元に静かな夜にこっそりと忍び込むが、追い払うこと勿れ。むしろそれらを慈しめられよーーー花の香り、遠くのお寺の鐘の音、冷んやりとした夜の虫の音。

jot /dʒɑ(ː)t|dʒɔt/
動詞~s; ~ted; ~ting
他動詞
(さっと)〈事柄考えなど〉を書き留める, メモする(down).

steal /stiːl/ (!-ea-は /iː/ ; steelと同音)
動詞~s /-z/ ; stole /stoʊl/ ; stolen /stóʊl(ə)n/ ; ~ing
自動詞
1 〈人が〉 «…から» (こっそり)盗みをする «from» .
2 ⦅文⦆〖~+副詞〗〈人が〉こっそりと動く; 〈感情などが〉知らぬ間に忍び寄る; 〈時が〉いつの間にか過ぎる; 〈音などが〉次第に聞こえてくる (!副詞は方向起点経路などの表現)
steal into [out of] the room
部屋へ忍び込む[からこっそり抜け出る]
▸ Sleep stole over me.
いつしか私は睡魔に襲われた.

watch /wɑ(ː)tʃ|wɔtʃ/
〖語源は「目を覚ます」; wake1と同源〗
名詞複~es /-ɪz/
1 C腕時計; 懐中時計; 〖しばしば複合語で〗…時計 (!大きい持ち運ばないclockと違い, 携帯用のものをさす)
▸ a digital watch
デジタル時計
▸ glance at one's watch
時計にちらりと目をやる
▸ check [consult] one's watch
時間を確かめる
▸ Your watch is (running) fast [slow, ╳late].
君の時計は進んで[遅れて]いるよ
▸ My watch says it's 7:29.
僕の時計では7時29分だ
▸ a watch and chain
鎖付きの時計.
2 CU〖単数形で〗見張り, 警戒, 用心, 監視
▸ It's your turn to keep watch.
君が見張りをする番だよ
▸ The prisoners are under watch.
囚人たちは監視下にある.
3 CU(汽船軍艦などの4時間交代の)当直時間; 〘海〙ワッチ; U当直
▸ I am on second watch.
僕は二番目の当直番だ.
4 CU夜警, 警備員; 〖the ~; 単複両扱い; 集合的に〗夜警団, 警備員団(night watch)
▸ place a watch
警備員を置く.

cherish /tʃérɪʃ/
動詞~es /-ɪz/ ; ~ed /-t/ ; ~ing
他動詞⦅ややかたく⦆
1 〈希望感情考えなど〉を心に抱く; 〈思い出など〉を胸にしまっておく
cherish the memory of childhood
子供のころの思い出を懐かしむ.
2 〈人動植物など〉をかわいがる, 大切にする, (愛情をこめて)世話をする, 育てる (!進行形にしない)
cherish one's children
子供たちを大切にする.
3 〈権利信念など〉を持ち[守り]続ける
cherish democracy
民主主義を守り続ける.

fragrance /fréɪɡr(ə)ns/ (!fra-は /freɪ/ )
名詞複~s /-ɪz/
1 U〖具体例では可算〗(花植物果物などの甘い)香り, 芳香; (特に人工の)香料(→smell類義)
▸ a sweet fragrance of roses
バラの甘い香り.

frosty /frɔ́ːsti|frɔ́sti/
形容詞
1 凍るような寒さの.
2 霜で覆われた.
3 〈態度感情などが〉冷たい, 冷淡な.
矢内原忠雄訳: 63) 自河楽翁公が心に浮ぶままを書き記せる随筆の中に、次のような言葉がある、「枕に通うとも谷なきものは花の香り、遠寺の鐘、夜の虫の音はことに哀れなり」。




私の訳: 64) また、曰く。それらはあなたの感情を傷つけるかもしれないが、あなたが許すべきのみであるところのものは3つあり。つまり、あなたの花を散らすそよ風。あなたの月を隠す雲、あなたと喧嘩をしようと絡んでくる人。

歌や昔の格言のようなものは英語に訳すのが難しそうだし、それを日本語にするのもまた難しい。

scatter /skǽtər/
〖語源は「粉みじんにする(shatter)」〗
動詞~s /-z/ ; ~ed /-d/ ; ~ing /-t(ə)rɪŋ/ (!be ~edなど分詞形容詞用法については→scattered)
他動詞
1 〈人などが〉【場所に】〈多くの物〉をまき散らす, ばらまく(about, around) «on, over, around» ; 〖~ A with B〗A〈場所〉にB〈物〉をまきひろげる
scatter gravel on a road ≒ scatter a road with gravel
道に砂利をまく[まきひろげる] (!後者は道全体が覆われる意味を含む)
▸ More than 200 museums are scattered throughout the country.
200以上の博物館がその国中に点在している.
2 〈人物が〉(別々の方向へ)〈人動物など〉を追い散らす, 分散させる
▸ The van roared out, scattering the crowd.
そのトラックは轟音(ごうおん)を立てて走り出し, 群衆を追い散らした.
3 〈雲など〉を散らす; 〘物理〙〈光など〉を散乱させる.
4 〈恐怖など〉を消散させる.

pick a quarrel
絡む、搦む

矢内原忠雄訳: 64) また日く、「憎くとも宥すべきは花の風、月の雲、うちつけに争う人はゆるすのみかは



私の訳: 65) 表面上は表現するため、しかし実際にはそれらの(武士の)温和な心を涵養するために詩を書くことは奨励された。

ostensible /ɑ(ː)sténsəb(ə)l|ɔs-/
形容詞
⦅かたく⦆〖名詞の前で〗表向きの, 建前の, 表面上の〈理由目的など〉.
osténsibly
副詞
表向きには.

矢内原忠雄訳: 65) これらの優美なる感情を外に表現するため、否むしろ内に涵養(かんよう)するがため、武士の間に詩歌が奨励せられた。




私の訳: 66)それ故に我々の詩は哀愁と優しさの力強い底流を持っている

pathos /péɪθɑ(ː)s|-θɔs/
名詞U
1 (映画劇などに見られる)哀愁, ペーソス.
2 〘哲美〙パトス〘感情感動情念など〙(↔ethos, logos).

ténderness
名詞U
1 〖まれにa ~〗優しさ, 親切心, 愛情.
2 柔らかさ.
3 かよわさ, 扱いにくさ.

矢内原忠雄訳: 66) それ故に、我が国の詩歌には悲壮と優雅の強き底流がある。




私の訳: 67) 田舎侍のよく知られた実話が適切にその実情を解説している。

anecdote /ǽnɪkdòʊt/ (!強勢は第1音節)
名詞複~s, ⦅まれ⦆-dota /-dòʊtə/ CU〖しばしば~s〗
1 逸話, ほほえましいエピソード, 笑い話.
2 〘美〙挿話風の絵.

rustic /rʌ́stɪk/
〖原義は「(生活様式が)田舎の」〗
形容詞more ~; most ~/3は比較なし
1 ⦅ほめて⦆田舎の, 田舎風の; 素朴な; 質素な (!田舎の純朴さを強調する; →rural) ; 粗野な
▸ farmhouses with rustic charm
田舎の魅力に満ちた農家の家屋.
2 名詞の前で〗粗木[丸太]造りの〈家など〉.

illustrate /ɪ́ləstrèɪt, ⦅米⦆ɪlʌ́s-/ (!強勢は第1音節が優勢)
〖il(中へ)lustrate(明るくする)〗
illustration
動詞~s /-ts/ ; ~d /-ɪd/ ; -trating
他動詞
1 〈人が〉【例比較などを用いて】〈物事〉を説明する, 例解する, 解説する «with» ; 〖~ wh節句〗…かを例で説明する(→explain類義)
▸ Please give some examples to illustrate your answer.
回答を明確にする例をいくつか挙げてください
To illustrate my point, …
私の言いたいことの例を挙げるので[挙げると]….
2 ⦅ややかたく⦆〈絵図解例事などが〉〈事実真実性など〉の例証として役立つ; 〖~ that節/wh節〗…ということを[…かを]例示する(→show類義)
▸ The case illustrated the potential of DNA testing.
事件はDNA鑑定の威力を見せつけた.

tell
3
a. 〖tell A (to do)〗A〈人〉に(…するよう)命令[忠告]する; 〖tell AB〗A〈人〉にB〈事〉を命令する, 〈手紙などが〉A〈人〉にBするように指示する (!しばしば~ing形で後置修飾して; ↑1a) ; 〖tell A wh句節/(that)節〗A〈人〉に…か[…ということ]を命令[忠告]する (!通例節中にmust, have to, shouldなどの助動詞やbe to doなどを伴う; →order類義)
▸ I was told (by my mother) to take you home.
私は君を家まで送るように(母から)言われた
▸ I didn't tell him what he should do [what to do].
私は彼にどうすべきか言わなかった
▸ She has been told by her doctor (that) she must lose weight [to lose weight].
彼女は医者から体重を減らすよう忠告を受けた
Do as you are told.
言われる通りにしなさい
How many times do I have to tell you?
⦅話⦆(指示を忘れている人に警告して)何度言ったらわかるんだい.
versification
名詞U
1 作詩(法).
2 韻律, 韻文化.duction, which ran

fiery /fáɪ(ə)ri/
→fire
形容詞-ier; -iest/more ~; most ~〖通例名詞の前で〗
1 火のように赤い, 燃えるように熱い
▸ a fiery red sky
燃えるような空
fiery ambition
燃え立つような大志.
2 激しやすい, 怒りっぽい〈気性など〉; 激烈な, 怒りの〈言葉など〉; かんの強い, 威勢のよい〈馬など〉
▸ a fiery nature
激しやすい性質.

rebel /réb(ə)l/
〖re(再び)bel(戦争)を始める〗
動詞 /rɪbél/ ~s; ~led; ~ling
自動詞
1 【権力者組織などに】反抗[敵対]する, 謀反を起こす «against»
rebel against the government [one's parents]
政府[親]に反発する.
2 ⦅書⦆ «…に» 強い反感を持つ «against, at» ; 〈体胃などが〉(食べ物などを)受けつけない.

fling /flɪŋ/
〖語源は「むち(で打つ)」〗
動詞~s /-z/ ; flung /flʌŋ/ ; ~ing
他動詞
1 〖~ A+副詞(力まかせに)A〈物〉を投げつける, さっと投げる (!(1)副詞は方向の表現. (2)時に怒りなどを暗示する; →throw類義)
▸ He flung the vase against the wall.
彼は花びんを壁に投げつけた
fling a textbook across the room
教科書を部屋の隅に投げやる.

uncouth /ʌnkúːθ/
形容詞
⦅否定的に⦆〈人が〉無作法な, 粗野な(coarse); 洗練されていない.

矢内原忠雄訳: 67) 或る田舎 侍 (大鷲文吾)の物語として、人に知られたる逸話がある。



註)The uguisu or warbler, sometimes called the nightingale of Japan.

私の訳:68)彼は詩を習うことを勧められ、鶯という題が彼に彼の最初の試みの課題として与えられた時、彼の激しやすい精神は反発して、そして彼の師匠の足元にこの粗野な作品を投げ出した。それは以下。

「勇敢な武士は、鶯の歌を聞くところの耳を、別にしておくものだ。」

矢内原忠雄訳: 68) 彼が俳諧を勧められ、「鶯の音」という題にて最初の作を試みたが、猛き心が裏切って

鶯の初音をきく耳は別にしておく武士かな

という、拙作をば投げ出した。




私の訳:69)粗野な感情によっても怯まずに彼の師匠は若者を励ますことを続けた。そしてついにある日、彼の魂の音楽が起き上がり、鶯の甘美な調子に応じた。そして詠んだ。

「武士は立った。鎧をつけて力強く、
鶯の歌を聞いて
木々の間で甘くさえずる」

undaunted /ʌ̀ndɔ́ːntɪd/
形容詞
⦅かたく⦆〖通例be ~〗 «…を» 恐れない, «…に» ひるまない, くじけない «by» ; «…の点で» 勇敢な, 大胆な «in» .

sentiment /séntəmənt/
名詞複~s /-ts/
1 UC⦅かたく⦆ «…についての» 感情, 意見, 考え方; (美的)情操, 情緒 «about, on» (→emotion類義)
▸ public [popular] sentiment
世論, 国民感情
▸ anti-American sentiment
反米感情
▸ My sentiments exactly.
まったくその通りです (!同意表現)
▸ share A's sentiments
A〈人〉と同感である.
2 U⦅時にけなして⦆ «…についての» (安っぽい)感傷, «about»
▸ There's no room for sentiment in business.
ビジネスに感傷の入る余地はない.
3 C⦅かたく⦆(お祝いなどの)あいさつの言葉.

sweet /swiːt/ (!suiteと同音)
sweeten, sweetly
形容詞~er; ~est
7 〈音楽歌声が〉甘美な, 快い
▸ a sweet singer
美声の歌手.


note /noʊt/
〖語源は「印」〗
notable, noted, notably
名詞複~s /-ts/
6 C〖単数形で〗(人の)声色, 調子, 印象, 様子(tone)
▸ There was a note of disappointment in her voice. ≒She talked with a note of disappointment.
彼女の声には落胆の色があった
on alighter [more serious] note
もっと気楽に[まじめに]言うと
on a slightly different note
少し話題を変えて.

warble /wɔ́ːrb(ə)l/
動詞
自動詞
1 〈鳥が〉(楽しそうに)さえずる.
2 ⦅おどけて⦆〈人が〉(下手に)さえずるように歌う.
他動詞
1 〈鳥が〉〈歌など〉をさえずる.
2 ⦅おどけて⦆〈人が〉(下手に)〈歌など〉をさえずるように歌う; ⦅書⦆〖直接話法〗…とさえずるように歌う(→say他動詞1a語法).
名詞
〖単数形で〗さえずり, さえずるように歌うこと.


矢内原忠雄訳: 69) 彼の師(大星由良之助)はこの粗野なる感情にも驚かず彼
を励ましたが、ついに或る日彼のたましいの音楽が目覚め、鶯の妙音に応じて

武夫(もののふ)の鶯きいて立ちにけり
との名吟を得た。




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