59) In the principality of Satsuma, noted for its martial spirit and education, the custom prevailed for young men to practise music; not the blast of trumpets or the beat of drums,--"those clamorous harbingers of blood and death"--stirring us to imitate the actions of a tiger, but sad and tender melodies on the biwa, 1 soothing our fiery spirits, drawing our thoughts away from scent of blood and scenes of carnage.
60) Polybius tells us of the Constitution of Arcadia, which required all youths under thirty to practise music, in order that this gentle art might alleviate the rigours of the inclement region.
61) It is to its influence that he attributes the absence of cruelty in that part of the Arcadian mountains.
現代英文訓読法で
私の訳:勇敢な精神と教育で知られる薩摩藩では若者に対して音楽を稽古するという習わしが行き渡っていた。トランペットの大音響やドラムの連打ーー流血や死のそれらの騒々しい前触れ(のような)ーー我々を虎の行動を真似をするように掻き立てるーーそのような類の音楽ではなくて、琵琶による哀しく優しい調べで、我々の猛々しい精神を鎮めるような、我々の思考を血の臭いや大虐殺の光景から引き離すような、そのような音楽を稽古したのである。
principality /prɪ̀nsəpǽləti/
名詞複-ties
1 C(princeが支配する)公国; 公国の支配(権).
2 ⦅英⦆〖the P-〗ウェールズ (!英国皇太子の正式呼称がPrince of Walesであることから) .
3 〖-ties〗〘神学〙権(けん)天使〘天使9階級中の第7位; →angel 1〙.
martial /mɑ́ːrʃ(ə)l/ (!marshalと同音)
形容詞⦅かたく⦆〖名詞の前で〗
1 戦争の[に適した]; 軍の.
2 好戦的な(warlike); 勇敢な.
prevail /prɪvéɪl/
〖pre(…より)vail(強い力を持つ)〗
形prevalent
動詞~s /-z/ ; ~ed /-d/ ; ~ing
自動詞⦅かたく⦆ (!進行形にしない)
1 〈考え方状況習慣などが〉 «…(の間)に» 広く行き渡っている, 流行[普及]している «in, among»
▸ An optimistic view prevails in [among] European countries.
楽観的な見方がヨーロッパ諸国の間で広がっている.
2
a. 〈提案原理などが〉 «…に» 打ち勝つ, 勝る «over, against»
▸ Justice will finally prevail.
正義は最後に勝つ
practise /prǽktɪs/
動詞名詞
⦅英⦆=practice.
practice /prǽktɪs/ (!⦅英⦆ではpractiseの形も用いられるが主に動詞)
〖語源は「行われるべきこと」〗
形practical, 名practitioner
custom /kʌ́stəm/
〖語源は「完全に慣れること」〗
形customary, 名customer
名詞複~s /-z/
1
a. U(社会的文化的な)慣習, 慣例, しきたり, 習わし (!具体例ではa ~/~s; その際しばしば修飾語を伴う; →habit類義)
▸ a local custom
地元の風習
▸ the custom of taking off shoes at the entrance
玄関で靴を脱ぐ習慣
▸ In Japan, it is the custom for parents to give their children New Year's presents.
日本では親が子供にお年玉をやるのが習わしだ
▸ So many countries, so many customs.
⦅ことわざ⦆いろいろな国にいろいろな習慣がある; 「所変われば品変わる」.
blast /blæst|blɑːst/
〖語源は「風が強く吹きつける」〗
名詞複~s /-ts/ C
1 突風; (空気風の)ひと吹き(→wind1類義)
▸ occasional blasts of wind
時折吹きつける風
▸ give a blast on the whistle
笛をひと吹きする.
2 (爆弾の)爆発, 爆風
▸ The blast killed 168 people.
その爆破で168人が亡くなった.
3 大音響
▸ a loud blast of gunfire
銃撃のけたたましい音.
beat /biːt/
〖「連打する」>「なぐりつける」>「打ち勝つ」〗
形beaten, 名beating
名詞複~s /-ts/ C
1 〖通例the ~〗連打すること; 連打の音, (時計の)コチコチという音; 作動音
▸ the beat of the helicopter
ヘリコプターの発するバタバタという音.
2 (心臓の)鼓動; 脈拍(→heartbeat)
▸ 70 beats per minute
1分あたり70の心拍数
▸ miss [skip] a beat
(心臓が止まるくらい)動揺する.
3 〖通例the ~〗
a. 〘楽〙拍子, リズム, ビート; 強拍音(→upbeat,downbeat)
▸ a four beat rhythm
4拍子のリズム.
clamorous /klǽm(ə)rəs/
形容詞
騒々しい; «…を» うるさく要求している «for» .
harbinger /hɑ́ːrbɪn(d)ʒər/
名詞
C⦅文⦆【変化の】先触れ, 兆し, 前兆(sign) «of» .
stir1 /stəːr/
〖語源は「ぐるぐる回す」〗
動詞~s /-z/ ; ~red /-d/ ; ~ring /stə́ːrɪŋ/
他動詞
1 〈人が〉【スプーン棒などで】〈液体など〉をかき回す, かき混ぜる «with» ; 【液体などに】〈材料など〉をかき混ぜながら入れる(in) «into»
▸ stir coffee with a spoon
スプーンでコーヒーをかき回す
▸ stir sugar into one's coffee
コーヒーに砂糖を入れてかき混ぜる
▸ stir in cream and eggs
クリームと卵を加えて混ぜる.
2 ⦅文⦆〈物事が〉〈人〉を感動[興奮]させる(move)
▸ The audience was deeply stirred by his speech.
聴衆は彼の演説に深く感動した.
3 ⦅文⦆〈物事が〉〈記憶など〉を呼び起こす, 〈感情〉をかき立てる(up)
▸ stir A's memory [imagination]
Aの記憶を呼び覚ます[想像力をかき立てる]
▸ stir emotions [interest]
感情[興味]をかき立てる.
4 〖~ A to do〗〈人物事が〉A〈人〉を駆り立てて…させる; 〖~ A to [into] B〗A〈人〉を駆り立ててB〈行為〉をさせる(up); 奮起させる
▸ stir people to protest against the government
人々を駆り立てて政府へ抗議させる
▸ stir her to action
彼女を行動に駆り立てる
▸ stir oneself to A
⦅主に英⦆奮起してAをする, 腰を上げてAに取り掛かる.
soothe /suːð/
動詞~s /-ɪz/ ; ~d /-d/ ; soothing
他動詞
1 〈人音楽などが〉〈怒った[興奮した]人など〉をなだめる, 落ち着かせる; 〈(国家間の)関係緊張など〉を和らげる; 〈感情など〉を静める
▸ sooth one's baby
赤ん坊をなだめる.
2 〈薬などが〉〈痛みなど〉を和らげる, 楽にする(away)
▸ Honey helps to soothe an irritated throat.
はちみつは喉の痛み[いがらっぽさ]を楽にしてくれる.
自動詞
(人などを)落ち着かせる, 安心させる.
fiery /fáɪ(ə)ri/
→fire
形容詞-ier; -iest/more ~; most ~〖通例名詞の前で〗
1 火のように赤い, 燃えるように熱い
▸ a fiery red sky
燃えるような空
▸ fiery ambition
燃え立つような大志.
2 激しやすい, 怒りっぽい〈気性など〉; 激烈な, 怒りの〈言葉など〉; かんの強い, 威勢のよい〈馬など〉
▸ a fiery nature
激しやすい性質.
3 火のついている, 燃えている
▸ a fiery torch
松明(たいまつ).
4 (焼けつくように)辛い, ぴりっとする〈食べ物飲み物〉.
dràw A awáy
«…から» Aを離す, 引っ込める «from» .
carnage /kɑ́ːrnɪdʒ/
名詞U
1 (主に戦場での)大虐殺, 大量殺戮(さつりく).
2 ⦅古⦆(虐殺された人々の)死体.
矢内原忠雄訳:59) 尚武の精神ならびに教育にて著名なりし薩摩藩では、青年の間に音楽を嗜(たしな)む風が行なわれた。音楽といっても、「かの血と死との騒々しき前触れ」たる喇叭(らっぱ)を吹き太鼓を打ちて、虎の行動の真似をするように刺激するのではなく、哀れ優しき琵琶を弾じて猛き心を和らげ、思いを腥風血雨(せいふう けつう)の外に馳せしめたのである。
60
私の訳:ポリビウスは我々にアルカディアの憲法について語っている。アルカディアの憲法は30歳以下のすべての若者に音楽を稽古することを要求した。この優しい芸術は極寒の地域環境に由来する過酷さを和らげてくれるかもしれないということを目的としたのである。
ポリュビオス(ギリシア語: Πολύβιος, Polybius, 紀元前204年? - 紀元前125年?)は、古代ギリシアのメガロポリス生まれの歴史家である。第三次マケドニア戦争のピュドナの戦いの後、人質としてローマに送られたものの、スキピオ・アエミリアヌスの庇護を受けた。
アルカディア(古代ギリシア語: Ἀρκαδία / Arcadia, Arkadia)は、ギリシャのペロポネソス半島中央部にある古代からの地域名で、後世に牧人の楽園として伝承され、理想郷の代名詞となった。名称はギリシア神話に登場するアルカス(アルカディア人の祖)に由来する。英語風にアルケイディア、アーカディア、アーケイディア等と表記される場合もある。ラテン文字による綴りには「Arcadia」と「Arkadia」の2種が混在している(詳細については後述)。
alleviate /əlíːvièɪt/
動詞
他動詞
⦅かたく⦆(一時的に)〈苦痛問題など〉を軽減する, 緩和する.
rigor⦅英⦆-our /rɪ́ɡər, 〘医〙でまたráɪɡɔːr/
〖<ラテン〗
名詞
1 U⦅かたく⦆(罰などの)厳格(さ); (研究などの)厳密(さ)
▸ scientific rigor
科学的厳密さ.
2 〖the ~s〗厳しさ, 過酷(さ)
▸ the rigors of training
トレーニングの厳しさ.
3 U〘医〙硬直.
inclement /ɪnklémənt/
形容詞⦅かたく⦆
1 〈気候天候が〉厳しい; 厳寒の; 険悪な
▸ inclement weather
悪天候.
2 残酷な, 無情な(harsh).
矢内原忠雄訳:60) ポリピウスの語るところによれば、アルカディアの憲法においては三十歳以下の青年はすべて音楽を課せられた。けだしこの柔和なる芸術によって、風土の荒涼よりきたる粗剛の性質を緩和せんとしたのである。
61
私の訳;アルカディア山脈のその地方における残忍性の欠如を、彼はそれこそその(音楽の)影響ということに帰した。
強調構文におけるthat以下は何節か、ということは、議論の多いところである。ここでは「名詞節」の楔をつけて区切った。
節であることは確か。何らかの区切りが必要なので、名詞節の楔を使った。文法的には不明である。
attribute /ətrɪ́bjət|ətrɪ́bjuːt/ (!動詞名詞で強勢が異なる)
〖at(…に) tribute(与える)〗
動詞~s /-ts/ ; ~d /-ɪd/ ; -uting
他動詞
1 〖attribute A to B〗A〈物事(の結果)〉をB〈人物事〉に帰する, AをBのせいにする; A〈性質特徴など〉がB〈人物など〉にあるとする[考える](⦅かたく⦆ascribe)
▸ attribute one's failure to bad luck
失敗を運が悪かったためとする
▸ His death was attributed to lung cancer.
彼の死因は肺癌(がん)であるとされた.
2 〖通例be ~d to A〗〈作品などが〉A〈作者〉の作であると考えられている.
矢内原忠雄訳:61) アルカディア山脈のこの地方に残忍性の見られざる理由を彼は音楽の影響に帰している。
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