骨粗鬆症 ケースレーポート
(本人が特定されないよう、検査時期や骨密度を若干変えております)
90歳 女性
骨密度
数字(%)は20代、30代の女性の骨密度の平均を100%とした場合、本人の骨密度が何%であるかを示しています。
60%以下を骨粗鬆症。
60-70%を骨減少状態といい、「気をつけていきましょう」という評価です。
この方は平成13年から計測しております。
年齢とともに少しずつ下がってきておりますが、90歳でこのくらいあれば、上等であると思います。
身体能力
骨粗鬆症は骨密度だけではなく、身体能力、体力などからも判定しなければいけません。
握力を測定しました。 右 22kg 左 19kg
70歳を超えた時点で平均が20k以上あれば上等です。
この方は90歳でこのくらいあるのですから、すごいと思います。
元気な方です。
片足で立っていただくと、11秒 立つことができました。
1分位立てると良いのですが、この年齢でこのくらい立てたら十分と思います。
臥位での体のソリを測定すると 6cm でした。
これは背筋力をみています。
高齢になって背中が丸まってくる大きな原因の一つが、背筋力の低下です。
背筋力は常に鍛えておく必要があります。
試しに床の上にうつぶせに寝て、体を反らしてみてください。
意外とできないものではないか、と思います。
若い時にはもっとできたのになあ、とお思いになるかもしれません。
食事 栄養
当院では、食事の状況をアンケートをとって調査しております。
骨に関する栄養状態をチェックするためです。
この方の1日摂取量
カルシウム 869 mg
ビタミンD 403 IU(国際単位)
ビタミンK 1000μg
カルシウムは1日600-800mg 摂取すべきと推奨されています。
ビタミンD, ビタミンKは、200-300以上摂取すべきと推奨されています。
この方は大変良い食生活をされていると思います。
カルシウムは1日600-800mg摂取することが勧められておりますが、なかなか摂っている方がおりません。
総合所見
どのようにしたら、老後も元気でいられるか。
このことは、皆様の課題と思います。
実際に元気なご老人というのは、この方もそうですが、世の中でちょくちょく見るものです。私もこのような仕事をしているので、よくお会いいたします。
元気なご老人に共通する特徴は2点です。
つまり
⭕️筋力があること
⭕️食事をきちんとされていること 所謂、食の太い方
と思います。
まさにこの方です。
握力は20kg以上あり、十分に食べておられます。
骨密度はさすがに、大腿骨頚部が減少傾向にはありますが、今回は骨粗鬆症の薬をあえて服用する必要はないと判断しました。
今後も半年に一度、計測し、骨密度が下がってくるようなら処方しようと思います。
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