2019年12月27日金曜日

電子カルテ ことわざ2つ。我々のカルテ情報は守られない

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 自民党は政権を再び奪取してこの10年間。
 水道民営化、種子法改正、IRカジノ法、農地法改正、漁業法改正とくだらない、というか、日本を投げ飛ばしてしまうビックリ法案、とんでも法案を作ってきた。

 さて、この次世代医療基盤法もその内の一つ。
 簡単に言うと、電子カルテの業者は電子カルテの情報を勝手に、患者も医療機関側の同意なしに、よその業者に渡してしまって良い、というもの。

 電子カルテ、というものを簡単に説明しますと・・・
 外来に行きますと、昔ならお医者さんは万年筆かボールペンでカルテに書いていたものですが・・・
 最近は、外来にパソコンがありまして、そこにキーボードで打ち込むわけです。
 その情報はパソコンのハードディスクに保存されるわけです。
 病院にはいくつもこのようなパソコンがありますので、これをつないで、病院の大きなハードディスクに情報を保存しているわけです。
 このようなシステムであると外からは簡単には侵入できないわけです。
 電子カルテの業者といえども、勝手に病院のハードディスクから患者情報を抜き出せないわけです。

 しかし、これは一昔前のシステムです。
 と言いますのは、電子カルテは意外と、というか、すごく管理、メンテナンスが大変なのです。
 動かなくなると大変です。病院全体の診療自体がストップします。
 このよう時には業者が大急ぎで駆けつけて復旧にあたります。

 したがって、今はデータはクラウド、と言って、業者のハードディスクで管理するわけです。業者のハードディスクには契約した病院の電子カルテがたくさんあるわけです。
 これであれば業者は居ながらにして遠方の病院の電子カルテを管理、修復できるのです。
 病院はそこにインターネットでアクセスして、その患者さんの電子カルテを開いて診療しています。

 あるいは、病院にハードディスクがあっても、その電子カルテ自体をリモートアクセス、と言いまして、業者の本拠地で居ながらにして管理します。東京の本社の技術者が東京に居ながらにして、例えば札幌契約している病院の電子カルテに直接アクセスして、トラブルの解決に当たるわけです。

 便利といえば便利です。駆けつける手間がないわけですから。

 しかし、電子カルテの業者は、病院の電子カルテの情報を意のままにすることができるわけです。他の業者に渡すことなどすぐにできます。自分のハードディスクに入っているのですから。
 大方のケースでは、いや、すべてのケースでお金で売り買いすることになるでしょう。

 カルテを書いたのは医療機関だし、その情報は患者様のプライバシーです。
 それを勝手によその人に渡してしまって良いものでしょうか。良いはずがない。
 しかし、奇天烈なことにそれを「良し」としたのが、この次世代医療基盤法であるわけです。
 よく考えると怖いですね。
 カルテを書く方も怖いけど、患者さんはもっと怖いと思います。

 匿名で渡す、としていますが、どこの誰がどのように、カルテの名前やマイナンバー、健康保険証の番号を匿名化するのでしょう。
 匿名化するために、データを下請け、孫請けに回すと思います。
 そのうちに、生データのままカルテ情報が流出するのはもう見えていますでしょう。

 これを考えていると、2つのことわざが頭を過ぎりました(よぎりました)。


餓狼の庖厨を守る如し
がろう の ほうちゅう を まもる ごとし)

【後漢書】
「餓狼の庖厨を守らしめ、飢虎に牢豚を牧わしむ(飢えた虎に台所を守らせる)」
飢えた狼に台所を守らせるという意味。
大切なものを最も危険な人物に守らせることのたとえ。
または、不適任であること、矛盾していることのたとえ。

餓狼=飢えた狼、庖厨=台所

【類義語】
猫に鰹節を預ける。
盗人に鍵を預ける。

It is a foolish sheep that makes the wolf his confessor.

狼を贖罪師にするほど馬鹿な羊はいない



confessor /kənfésər/

名詞C

〘カトリック〙懺悔(ざんげ)[告白]聴聞司祭〘信者の懺悔を聞く司祭〙; (秘密や過失を打ち明けられる)司祭のような人.

告白者, 自白する人.
〘キリスト教〙証聖者, 表信者〘殉教はしないが, 困難に打ち勝ち信仰を貫いた人〙.

コンヘソル
ポルトガル confessor
〔キリシタン用語〕
信者の罪の告白をきく司祭。聴罪司祭。

コンヘソル という言い方 渋いですね



下の記事です 

NTTデータ、匿名加工医療情報作成事業を開始 電子カルテを含む医療情報を収集、匿名加工し提供へ          

石井 一志2019年12月19日 17:09

株式会社NTTデータは19日、次世代医療基盤法に基づき、初めて「認定医療情報等取扱受託事業者」認定を取得したと発表した。これにより、電子カルテを含めた詳細な医療情報を収集・匿名加工し、研究者などへ提供する「匿名加工医療情報作成事業」を、一般社団法人ライフデータイニシアティブと連携し、2020年1月6日より開始する。

 日本における医療情報は、個人にかかわる機微な情報として「要配慮個人情報」に定義されており、その取り扱いが厳格化されているが、2018年5月に次世代医療基盤法が制定されたことで、匿名性が保たれた状態での活用が可能になったという。

 具体的には、同法が定める認定匿名加工医療情報作成事業者、認定医療情報等取扱受託事業者において、厳格な利用目的などの審査を行ったうえで、医療情報を個人が特定できない情報へと加工することにより、大学や企業の研究機関などに対しての提供を行えるようになったとのこと。

 今回、NTTデータが開始する事業では、日本全国の病院を中心とした医療施設からレセプトデータ、DPC調査データ、診療行為結果(アウトカム)情報を収集し、個人が特定できない匿名加工医療情報を作成する。研究者や製薬企業などは、この提供を受けることで、アウトカム情報を用いた高度な分析が可能になるとした。

 具体的には、アウトカムを含むさまざまな医療情報を用いることにより、従来は利用が難しかった検査値などに加え、医師所見といった非構造化情報の活用による多角的分析が可能。また、施設や診療科をまたがった名寄せによる情報活用を行え、治療実績の動態を追跡することもできるという。さらに将来的には、数百万人を超えるアウトカム情報を収集し、従来存在しない大規模かつ詳細なデータベースを構築することにより、日本の研究開発の発展に寄与できるとのこと。

 なお同事業では、認定匿名加工医療情報作成事業者であるライフデータイニシアティブが、匿名加工医療情報作成において法律で定める管理業務、利用目的などの審査を行う一方、NTTデータは、匿名加工医療情報を作成する業務の委託を受け、システムの維持運用を行うとしている。

私の懸念:匿名加工はきちんと行われるのか。下請け、孫請け業者に生データを回し、電子カルテのデータがそのままあちこちに流れていく懸念はないのか。
 マイナンバーもコンピューターへの打ち込みを厚労省はあろうことか、中国の山東省の業者に依頼した(値段が安かったから)。まさに、「餓狼に庖厨を守らしむ」ということか。これの再現が絶対ないとは言えないだろう。



 上の連中。結局は金だけで動く連中です。
 匿名化するにも手間がかかります。
 これをどこに下請けさせるのか。下請けはまたどこかに孫請けさせる。
 幾つもの会社の、幾つもの人の手を経由する。
 その間にカルテの患者情報が流出しないという保証はあるのか。 
 
マイナンバーの時。
 厚生労働省はあろうことか、マイナンバーのコンピューターへの打ち込みを、中国の山東省の会社に依頼していたことが発覚しました。


 このような事例を見ると残念ながら個人情報が守られる保証などないと言った方が良いだろう。
 結局これを以って電子カルテは死んじゃったのではないでしょうか。
 患者情報が漏洩しないように気を配るのは医療人としての基本的な義務です。
 それが国の方針とはいえ、電子カルテでは患者さんに秘密保持を保証できなくなってしまったわけです。
 もはや、電子カルテをやめて紙カルテを使用する他に選択肢はないように思えます。

 当院は、もともと紙カルテで診療しております。
 患者さんの情報が漏れる心配はまったくありませんのでご安心して当院で診療をお受けください。

参考
当院のブログ 電子カルテを問う 2年前のもの
http://fushimikeimei.blogspot.com/2017/03/blog-post_13.html
 当時はむしろ「効率」という面で論じた。
 この当時、「セキュリティーは大丈夫か」とちらりと思ったが、あまり気には止めなかった。
 それが最近、ますます私の中で肥大化している。
 プライバシーを他人に握られたら、すでに奴隷です。





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